太陽系のまわりの星々や星間物質は、一つのまとまった集団を構成しており、これを銀河系といいます。天の川は、太陽が属する銀河系(天の川銀河)の中心方向を見たものです。天の川銀河は、数千億個の恒星からなる棒渦巻銀河です。天の川銀河に最も近い銀河系はアンドロメダ大星雲で、地球からは約200万光年離れています。天の川銀河やアンドロメダ大星雲のような銀河系が宇宙には千億個以上あると考えられています。
天の川が無数の恒星の集まりであることは、17世紀初めに、イタリアのガリレオ・ガリレイによって自作の望遠鏡を使って発見されました。18世紀のドイツの哲学者カントは、私たちのまわりの星々はレンズ状に集まった銀河系を作っていると考えました。その後、天体力学者として著名なラプラスも類似の説を提唱したことから、カントの説は「カント=ラプラスの星雲説」と呼ばれています。
地球から肉眼で見ることができる太陽以外の恒星は、全て天の川銀河の中で太陽系の近くにある恒星です。次に、冬の夜空を飾る明るい恒星をとりあげます。
ベテルギウスはオリオン座のアルファ星で、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンと共に冬の大三角形を形成しています。全天で9番目に明るい恒星で、赤く輝く赤色超巨星です。地球からの推定距離は645光年です。ベテルギウスの直径はベテルギウスを太陽の位置に置いた場合、火星軌道を大きく越え木星軌道近くまであります。
最近の観測でベテルギウスは15年前の15%の直径となっており、不安定な状態となっていることが分かりました。これが超新星爆発の兆候であるかは分かっていませんが、近い将来(100万年の間に)超新星爆発を起こすであろうと考えられています。
シリウスは太陽を除くと地球上から最も明るく見える恒星です。おおいぬ座のアルファ星で、オリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオンとともに冬の大三角形を形成しています。地球からの推定距離は8.6光年です。シリウスは、主星のシリウスAと伴星のシリウスBからなる連星です。
プロキオンはこいぬ座のアルファ星で、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウスと共に冬の大三角形を形成しています。地球からの推定距離は11.46光年です。プロキオンは伴星を連星系をなしていますが、伴星は暗いため小さな望遠鏡では見ることができません。プロキオンはシリウスより質量が小さいが、直径は大きく、温度の割には明るい恒星です。これは、プロキオンが主系列星の最終段階にあるためであり、1億年以内に赤色巨星へと進化すると考えられています。
リゲルはオリオン座のベータ星で、シリウス、プロキオン、ポルックス、アルデバランと共に冬のダイアモンドを形成しています。ベータ星ではありますが、アルファ星のベテルギウスよりも平均視等級は小さく、より明るい星です。絶対等級は-7で太陽の約3万倍明るい星で、青白く輝く青色超巨星です。地球からの推定距離は860光年です。リゲルは、リゲルBとともに連星系をなしますが、リゲルBはリゲルが明るすぎて小さな望遠鏡では見ることはできません。
アルデバランは牡牛座のアルファ星で、冬のダイアモンドを形成する恒星の一つです。オレンジ色に輝いており、これは、核融合の燃料である水素を使い果たし、主系列星から赤色巨星に移行しているためです。地球からの推定距離は67光年です。アルデバランは、小さな赤色矮星と連星をなします。米国の木星無人探査機パイオニア10号は、太陽系を離脱し、約200万年後にアルデバラン付近に到達します。