文明社会に生きる現代人ならだれでも、太陽系は、中心にある太陽の引力によって統率された9つの惑星の集まりであり、そのなかの4つは地球よりもずっと大きいことを知っている。太陽系の直径はほぼ120億キロメートルで、想像もつかないほどの距離だが、いちばん近いものでもじつに40兆キロメートルという恒星間の距離にくらべるとものの数ではない。太陽系がどのようにしてできたかという問題については、天文学者の間でも、いまだに意見が分かれている。しかしおよそのところ、年齢は約50億年を経ており、ちりとガスの大きな雲が凝縮してから、それほど間をおかないうちに現在の状態になったものと考えられる。
これは何千年にもわたる人々の観測と思索から生まれた結論だが、科学が発達していない昔の人々の常識からはおよそ縁遠い考え方である。...
何百年も前から学識のある人々は、太陽が太陽系のなかでもっとも大きな天体であり、その中心に位置することは知っていた。太陽をめぐる9個の惑星は、水星、金星、地球、火星、木星、天王星、海王星、冥王星の順序で配列されている。しかし現代人のように知的だった大昔の文明人たち、たとえば古代のエジプト人やめそぽたみやメソポタミア人は、地球は平たくてかたいものであり、宇宙のなかでもっとも重要な存在だと思っていた。彼らは太陽、月、惑星、恒星などを、ただ目に見えるままの存在として受けとり、それらの動きは将来を予知するための素材だとしか考えていなかった。
この種の予言、つまり占星術は、きわめて古い輝かしい歴史をもっている。...
地球は惑星を研究するのに、このうえもなく便利な出発点である。月やいくつかの惑星に人間や装置を着陸させたり、宇宙船を近距離に飛行させ、積んである装置を使用して探査することは、実際に可能であるが、こうした方法で得られる情報は断片的なものである。新しく見いだされたものを評価するさい参考になるような、他の天体に関する知識なしには、全体としては困惑するばかりであろう。
遠い惑星から得た資料を分析する一番てっとり早い方法は、その惑星は基本的には地球と同じものだと仮定することである。...
地球の内部の知識や、それから推論によって得た過去の歴史は、ほとんど地震波の研究、つまり地震学から得られたものである。地震はいまでも地球でしばしば起こっている。その大部分は地殻の断層にそって急に起こる平衡のくずれ、つまり地殻の運動によって起こる。地殻の平衡がくずれると、わずかながら弾力のある岩石は、ばねのように振動し、一連の振動がその地点から四方に広がる。その振動が強ければ、地球の反対側でも地震計は振動をとらえる。地震計は原理的には、おもりをつるすと地面がゆれてもおもりは慣性によって動くことなくとまっているので、おもりに対する地面の動きが精巧な装置によって拡大され、長い紙の上にジグザグの千を描くようにつくられた器械である。地震学者はその記録を調べて、地震波が地球をとおりぬける間にどんな物質に出会ったかを解析する。
地球の内部不覚に伝わる波には、P波(第1波)とS波(第2波)の2種類がある。...